米国連邦企業透明化法の仮差止めを停止するテキサス州連邦地裁の2025年2月17日付け決定について – FinCEN(金融犯罪取締局)は、届出期限を2025年3月21日に設定
米国テキサス州東部地区連邦地裁は、2025年1月7日、米国連邦憲法上の疑義があるとして米国連邦企業透明化法に基づく実質所有者の報告義務の執行を仮に差止めるとの決定(Smith, et al. v. U.S. Department of the Treasury, et al., 6:24-cv-00336 (E.D. Tex.))をおこなった。そして、この決定の効力は、訴訟当事者以外にも及ぶものとされていた。そのため、FinCENは、当該訴訟の継続中において、同法上の報告義務は発生しないとの発表をおこなっていた。
しかし、同地裁は、2025年2月17日付で判断を翻し、当該仮差止めを停止した。この停止決定は、たまたま同地裁に係属した先行する別の事件(担当判事も異なる)における米国連邦最高裁判所の2025年1月23日付け決定(McHenry v. Texas Top Cop Shop, Inc., No. 24A653 (U.S. Jan. 23, 2025))を受ける形でなされたものである。米国連邦最高裁判所は、先行事件について同地裁が行なっていた米国連邦企業透明化法の執行を仮りに差止めるとの決定を停止するとの判断を下していた。そして、2月17日の地裁停止決定を受け同月19日FinCENは、同日時点で、米国企業透明化法の届出の義務付けを法的に妨げるものはないとして、一般的に、2025年3月21日を期限とする同法に基づく届出義務を発生させるとウェッブサイトを通じて発表した。
さらに、FinCENは、企業の負担軽減のため、上記の期限が延長される可能性に言及している。また、届出義務の期限とは別に、企業の規制遵守のために発生する負担を軽減するための変更も検討するものとしている。同法の執行に関しては、未だ、以上の他にも複数の訴訟が係属中でもあるため、今後の動きにも引き続き注視していくことが必要となる。これまでも任意での報告は可能であったのであるが、現状においては、将来の変更の可能性にかかわらず、3月21日の期限前に届出を済ませざるを得ないとの前提で準備をすべきことになる。
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